グリセミック・インデックス(GI=Glycemic Index 血糖値上昇指数)

グリセミック・インデックスとは、炭水化物の摂取源となる食品を摂った際の血糖値の上昇速度について、主にブドウ糖を基準(100)として相対的な数値で表したものです。 つまり、それぞれの食品に含まれる炭水化物の燃焼時間のスピードを示した数値のことで、GI値が高いほど素早く、逆に低いほどゆっくりとエネルギーになるということができます。
ブドウ糖を100とした場合、この数値が60以下であれば、血糖値はゆるやかなカーブを描いて変化する安心食材であることを意味し、61~70の場合は要注意食材、71以上の食材は血糖値を急激に上げ、低血糖症を引き起こしかねない厳重注意食材です。白米は84、食パンは91、うどんも80と厳重注意の高さです。白米を胚芽米や玄米に変えたり、白米に雑穀を混ぜるだけでも効果は現れます。食パンの代わりにライ麦パンや全粒粉パンに、麺類なら、うどんよりそばがおすすめです。
また、野菜はほとんどが低GI値ですが、特別なのが、とうもろこし、かぼちゃ、そしてじゃがいも、里芋、山芋などの芋類です。野菜の中でもGI値が高めなので注意が必要です。

60以下
(安心食材)
十割そば59、ライ麦パン58、玄米56、全粒粉パン50、肉類45~49、魚介類40前後、チーズ35、卵30、バナナ55、トマト30、アーモンド30
61~70
(要注意食材)
胚芽米70、とうもろこし70、そうめん68、スパゲティ65
71以上
(厳重注意食材)
白砂糖110、白キャンディ108、チョコレート91、食パン91,じゃがいも90、はちみつ88、白米84、うどん80

高GI食は、血糖値の急激な上昇・下降を招くため、さまざまな悪影響を体に及ぼします。
糖尿病のリスクが高まり、諸病の元凶になる活性酸素も出現し、低血糖症やホルモン分泌の異常などが起こりやすくなります。低血糖症とは、単に血糖値が低くなるというだけの症状ではなく、血糖調節異常のことで、血糖値が安定した状態を維持できなくなる状態をいいます。できるだけ60以下の食品を食べるよう心掛けましょう。
しかし、GI値を難しく考える必要はありません。基本的には、どんな食べ物でも精製・加工の程度ができるだけ低いものを選ぶようにすればいいのです。精製された“白い”ものより“茶色”のものを選びましょう。

N/Cレート

ある食べ物について、総カロリー(Calorie=C)に対してミネラルやビタミンなどの栄養素がどれだけ含まれているかという栄養的な価値(Nutrient value=N)を示すときに「N/Cレート」という言葉を用います。例えば、精白小麦粉のように精製・加工の程度が高いものはN/Cレートが低く、玄米などの未精製穀物はN/Cレートが高い。穀物でGI値が低いものは総じてN/Cレートが高い、つまり栄養的な価値が高いということです。  では、私たちの主食である米、パン、麺類について見てみましょう。

日本人のパワーを支えてきた「玄米」の力

米では、低GI値で栄養的に優れているのは玄米です。玄米は発芽という非常に強い生命力を持ち、食物繊維、ミネラル、ビタミン、たんぱく質、糖質等の栄養素が豊富で、食品の優等生です。玄米には胚芽部分糠層(種皮)がありますが、とくに胚芽は、米の生命が宿っている最も重要な部分で、ビタミンA・B1・B2・B12、ニコチン酸(ナイアシン)、パントテン酸、葉酸、ビタミンEなどを含む天然の栄養素の宝庫です。そのため、玄米と白米では栄養価にも大きな違いがあります。玄米は白米よりも、食物繊維、ビタミンB1、ビタミンEが4倍多く、ビタミンB2や鉄やリンのミネラル類が2倍以上。さらには活性酸素の発生を抑制するフィチン酸セレン、脳の血流をよくするギャバなど特殊な栄養成分も含まれ、全体食品の中でも主要な栄養が高水準で整う食品です。
フィチン酸は放射性物質、水銀・鉛などの重金属、農薬、公害物質などと結合して体外に排出する働きをし、脳の満腹中枢を直接刺激し、食欲を抑える効果もあります。ギャバには、血液中の中性脂肪とコレステロールを減らし、血圧や血糖値を正常にし、集中力アップ、細胞の活性化、肝機能の回復など様々な効果があります。また、ニコチン酸(ナイアシン)には、がんを抑制する作用があります。その他、玄米の中には分析には出てこない有用な未知成分がたくさん含まれています。
また玄米は主菜や副菜ではなく毎日食べる主食で、主食が免疫力の強化に役立つ点も魅力です。玄米は糠層の部分が硬いのでよく噛んで食べるようになりますが、そのことにより唾液の分泌が活発になり、唾液の1成分であるペルオキシダーゼには強力な抗酸化力に伴う強い毒消し作用があり、噛むことも免疫力向上に貢献します。硬くて食べづらい人には、糠層をそれぞれ30%、50%、70%取り除いた三分づき米、五分づき米、七分づき米があり、胚芽部だけ残した発芽玄米もあります。発芽玄米は発芽によって、様々な酵素が活性化され、玄米にもともと含まれていた栄養成分が増えるとともに、胚乳に貯蔵されているデンプンやたんぱく質が分解されて甘味や旨味が増し、ミネラルの吸収もよくなります。
しかし、玄米にも欠点があります。それはマグネシウムやリンが多く、カルシウムが少ないことです。これを補うためにはゴマを一緒に食べることも有効です。ゴマには、カルシウムやビタミンB群も多く、良質蛋白質・脂肪も豊富で、細胞に活力を与え、精神も安定させる健脳食でもあります。玄米との抱き合わせも有用です。

精米で失われる米の栄養分

米には、糖質やたんぱく質、脂質のほかにビタミンやミネラル、食物繊維が含まれていますが、それらのほとんどが胚芽の部分と糠の部分に含まれています。ところが、精米の過程でこれを削り落してしまっているので、主なビタミンとミネラル、食物繊維の含有量を比べてみると、いずれの栄養成分も白米になると多いものでは約8割も減少しています。もったいないことに、私たちはわざわざ手を加えて、せっかく持っているお米の栄養分を無駄にしてしまっているのです。
玄米と精白米との成分比較栄養面からいえば玄米がいいのですが、玄米に近い状態の三分づき米は、白米のように炊けて味も玄米のようなクセがありません。食物繊維の量は玄米の約1/3になりますが、それ以外は栄養素によって多少は減るものの、玄米並みの栄養分を持っています。
米は、穀物の中では優れた食品ですが、さらに、栄養を補完するために雑穀を炊き込むのも有用です。
雑穀にはあわ、きび、ひえなどいろいろありますが、特に有用なのはアマランサスです。アマランサスはスーパーグレインと呼ばれるように非常に栄養価の高い雑穀(正確には擬穀物)で、ミネラル分が多く、なかなかとりにくいと言われている鉄分やカルシウム、マグネシウムなどの微量元素を大量に含んでいます。直径2ミリほどの小さな粒の雑穀で、お米の1割ほどを入れて一緒に炊くと、ご飯がもっちりとした食感に仕上がります。

精製度の低い食材を勧める理由

精製度の低い低GI値の食材を勧める理由は、精製度の高い高GI値の白いご飯やパン、うどん、砂糖などは、食後急速に吸収されて一気に血糖値が上がってしまうからです。血糖値が急激に上がると、膵臓はインスリンを排出して大慌てで血糖値を下げようとします。ところが、インスリンは微調整がきかないために一気に出てしまって、今度は逆に血糖値が急降下し低血糖に陥ってしまいます。低血糖とは血液中にエネルギー源になるブドウ糖がない状態ですから、脳も体も健全な働きができません。これが日々繰り返されたら、体も脳もダメージを受けるのは容易に想像できます。
低GI値の玄米や三分づき米では、それらに含まれる食物繊維の働きで、糖類の吸収速度が緩やかになります。少しづつ吸収されれば血糖値が急激に上がることもなく、インスリンも必要に応じて分泌されるので過剰に出ることもなくなります。 。

精製された白いパンより未精製のものを

小麦の表皮、胚芽、胚乳のすべてを粉にしてつくった全粒粉パンは、精製した胚乳だけを用いる通常の真っ白なパンに比べて、食物繊維や鉄分などを3倍も多く含み、ビタミンB1の含有量も多く栄養価の高いものですが、色は不純物を多く含むため茶褐色を帯びます。それ以外でも、ライ麦を混入したライ麦パンや、玄米、ソバ、胚芽などが混入されたものの方がGI値も下がり健康的なパンといえます。

麺類では白いうどんよりもソバを

ソバは良質なたんぱく質と、ビタミンB2を豊富に含み、また動脈硬化を防ぐルチンも含んでおり、血液をきれいにし、細胞に活力を与える健康的な食品です。それ故、高GI値の真っ白なうどんより、低GI値の色の黒いソバの方が栄養的には優れた食品といえます。ソバ掻きが一番有効成分を失わない食べ方で、ソバの風味が生きた豊かな味を賞味できます。

もっとコワい白い砂糖

精製度の高い白い米や小麦粉以上に気をつけたいのが、白い砂糖です。子どもたちがキレやすかったり、イライラしていたり、集中力がなかったり、無気力なのは、白い砂糖の摂り過ぎが原因ではないかと言われています。白い砂糖も、食生活から排除したい食品の一つです。
白い砂糖の代わりにお勧めなのが、未精製の黒糖や精製度の低い洗双糖、メープルシロップ、はちみつなどです。はちみつは、40℃を超えると消化できなくなって体に害をもたらすので、生で使うのがお勧めです。
三温糖は精製度が低いわけではありません。薄茶色で味にコクがあるところから、白い砂糖よりもナチュラルな感じがするかもしれませんが、三温糖は砂糖を生成した後の残り液からつくるもので、カラメルなどの着色料で色付けした加工品です。
穀物にしても砂糖類にしても、精製度の低い低GI値のものを食べると、不思議と食べ過ぎることがありません。ですから、健康レベルを下げることなく体重を落とすこともできます。精製度の低い穀類を主食にした食事をつづけると、その人にとって最もふさわしい体重に自然と落ち着きます。もし、食べ過ぎて太っていたなら痩せますし、食べ方に問題があって痩せていたなら適度に体重が増加します。できるだけ、精製された“白い”ものより、未精製の“茶色”のものを選んで食べるように心掛けましょう。