食品添加物とは、食品を製造する際に、加工や保存の目的で使われる調味料や保存料、着色料などの総称です。不特定多数の人が食べ続けても安全なように、厚生労働省が安全性を確認した上で、使用を許可したものを使うように義務付けられています。

食品添加物の種類

食品衛生法では「食品の製造過程で、または食品の加工や保存の目的で食品に添加、混和などの方法によって使用するもの」と定義され、以下の4つに分類されています。

  1. 指定添加物:389品目
    安全性、有効性が確認され、厚生労働大臣が指定した主に化学合成品
    合成着色料・合成保存料・甘味料 他
  2. 既存添加物:418品目
    長年使用されてきて実績のある天然添加物
    カラメル・クチナシ・えび色素・食紅 他
  3. 天然香料:612品目
    香料として使われる天然添加物
    オレンジ・コーヒー・サクラ・バラ・シナモン 他
  4. 一般飲食物添加物:104品目
    食品として利用している材料を他の目的に使用する場合
    果汁色素・カゼイン・ゼラチン・ターメリック 他

食品添加物の安全性

現在、使用されている食品添加物の一つひとつは厳しい検査を受け、身体に影響を及ぼさないと確認された上で使用が許可されています。
ただし、複数の食品添加物による相互作用の影響は沢山の組み合わせがあり、十分な研究がなされているとはいえないとも言われています。

添加物を使った加工食品の利用が多い食生活では、複数の種類の添加物を体内に取り込むことになります。過度に添加物を使用した加工食品に頼らず、手作りのメニューを取り入れたバランスのよい食生活を送るように心掛けたいものです
また、食品添加物は加工品の味や保存性を高めるために、なくてはならないものです。「食品添加物=悪」というイメージを持ってすべてを拒否することはありませんが、賢い消費者になるためにも、自分の選んだ食品にどんな添加物を使われているのか、いつもチェックする姿勢は持ちたいものです。

食品添加物の表示

食品衛生法により、商品の原材料欄に使用した全ての食品添加物の表示が義務付けられています。他の材料と同様に、添加物も量の多い順に表示され、その表示法は大きく次の
3つに分類されます。

  1. 物質名(その物質名を記載)
  2. 用途名(使用の目的・用途を記載)
    例:「甘味料(サッカリンNa)」、「保存料(ソルビン酸K)」
  3. 一括名(同様の機能・効果を有するものを一括表示)
    例:軟化剤、酸味料、乳化剤、香料など。

<表示例>

名称:幕の内弁当
原材料名:ご飯(白飯)、塩鮭、煮物(ごぼう、れんこん、厚揚げ)、卵焼き、煮豆、
ウインナー、かまぼこ、スパゲティサラダ、きうり、しば漬け、調味料(アミノ酸等)、pH調整剤、酸味料、香料、着色料(カラメル、カロチノイド、クチナシ、赤102、 赤3、赤106、黄4、青1)、漂白剤(亜硫酸塩)、リン酸(Na)、酸化防止剤、乳化剤、発色剤(亜硝酸Na)、保存料(ソルビン酸K)、増粘多糖類
  • 調味料(アミノ酸等):一括表示。旨味の元となる物質、グルタミン酸、イノシン酸、グアニル酸を精製した調味料で、加工食品には広く使用。化学調味料のグルタミン酸Na、DL‐アラニン、グリシンなどのアミノ酸系、それ以外に核酸も。安全性については、まだ不明確な部分もあるといわれているので摂取は控えめに。
  • pH調整剤:一括表示。食品のpHを調節し、変色・変質を抑える。酢酸Na、クエン酸
    Na、リンゴ酸Na、乳酸Naなど。過剰摂取で体内の善玉菌の働きを阻害。
  • 酸味料:一括表示。飲物や菓子、スープや酒にも使用。クエン酸、乳酸、酢酸、ビタミンC(V.C. アスコルビン酸とも表記)、アジピン酸、コハク酸など。
  • 香料:一括表示。食品に香りをつけ風味を出す。「○○フレーバー」とも表記。オレンジ香料、バニリン、イソ吉草酸エチル、ギ酸イソアミルなど、天然系約600品目、合成96品目。中には毒性の強いものも。
  • 着色料:一括表示。(カラメル、カロチノイド、クチナシ、赤102、赤3、赤106、黄4、青1)。食品の色調整。カラメルには発がん性、クチナシも安全性はそれほど高くないといわれており、赤色102号・3号、黄色4号、青色1号についても要注意。
  • 漂白剤:一括表示。亜硫酸Na、次亜硫酸Naなど。発がん性の疑いもあり要注意。
  • リン酸Na:食肉製品や魚肉製品の結着力や保水性を高め、品質を安定させる目的で使用。多食すると体内のCaと結合して体外に排出させるため骨形成異常の恐れ。
  • 酸化防止剤:一括表示。食品の保存性を高める。V.C.(ビタミンC)、V.E.(ビタミンE)。アスコルビン酸は過剰摂取で尿管結石の恐れ。BHA(ブチルヒドロキシアニソール)、BHT(ブチルヒドロキシトルエン)、エリソルビン酸、没食子酸プロビルなどは発がん性、変異原性、遺伝毒性等の疑い。
  • 乳化剤:一括表示。水と油を均一に混合。天ぷらの衣や練り物などに広く使用。グリセリン脂肪酸エステル、カゼインNaなど。レシチンには遺伝子組み換えの危険性。リン酸はリン鉱石のリンが原料となっているため要注意。摂取は控えめに。
  • 発色剤:一括表示。ハム、ソーセージなど肉の色調・風味の改善、また食中毒を引起こボツリヌス菌抑制のため添加。亜硝酸Naは発がん性の疑い。
  • 保存剤:一括表示。カビや細菌などの発育を抑制し、食品の保存性を高める。ソルビン酸や安息香酸は、肝臓・腎臓障害や発育障害、発がん性などの可能性、ソルビン酸Kは多量摂取で発がん性、変異原性、デヒドロ酢酸は肝脂肪増加などの指摘。しらこたんぱく抽出物も安全性の証明なし。摂取は控えめに。
  • 増粘多糖類:一括表示。食品に滑らかさや粘りを与え、食品成分を均一に安定させる。キサンタンガム、グアーガム、カルボキシメチルセルロースなど。微量では問題ないが過剰摂取に注意。

 

一括表示のものは、「香料」、「乳化剤」、「pH調整剤」、「軟化剤」、「酸味料」、「調味料(アミノ酸等)」、「イーストフード」など同じ目的のために使われるのであれば、一括して表示してよいと食品衛生法で定められています。
また、加工後には微量しか残らない加工助剤や、原料に使用した添加物が最終食品になったときに量が少なく効果を発揮しない「キャリーオーバー」と呼ばれる場合や、栄養強化の目的で用いられた栄養補助剤の場合は表示を免除されます。
キャリーオーバー」というのは、例えば、せんべいの味付け用に、安息香酸(保存料)を使用した醤油を用いたとしても、安息香酸が最終的にせんべいの保存料として効果を持たない場合にはキャリーオーバーに該当します。
その他、バラ売りや店内で製造・販売するものについても、表示は不要です。パックに詰めないで枚数売りの魚や「詰め放題」の菓子類、ベーカリーショップのパン、持ち帰り弁当、スーパー店内でつくられる惣菜など、何が使われているか知りようがないのです。
また、飴や一口サイズのお菓子、コーヒーフレッシュなど、パッケージが小さいもの(30cm2以下)についても、全て書くとラベルで中身が見えなくなるので、食品衛生法で原材料の記載は不要となっています。

食品添加物は、食品本来の分子ではないので、人間の体に入ってからは必要のないものです。そのために、それを無害化したり、分解したり、体外へ排泄したりするために、人体に余分な負担をかけます。
また、食べ物は体内に入り適切に消化吸収され、栄養素となって血液を通して全身の細胞に届けられて初めて利用できます。そのとき有害な物質が存在すると、こういった一連の流れをどこかで邪魔します。それで、身体の不調や健康障害を招くことになるのです。
人工的な化学物質は、もともと自然界には存在しないため、体の中で対応する仕組みができていません。化学物質にも脂溶性のものが多く、これらが体内に入り込むと主に脂肪に蓄積されます。いったん脂肪組織に蓄積した化学物質は、5年経っても半分にしか減少しないといわれています。
添加物は、人体に急激な悪影響を及ぼさないレベルなら加えてよいことになっていますが、長期的に摂取を続けて生じる問題、複合的な作用については、まだきちんと調べられていないとも言われています。食品の安全性確保のためには、「疑わしきは使用せず」を大原則にするべきではないでしょうか。
ある調査によると、日本では1年間に1人24kgもの食品添加物を食べているということです。月にすると、2kg、1日では70gも食べている計算になります。

食品添加物は、現代の大量生産・流通において重要な役割を果たしていますが、長期摂取や複数混合時の安全性が全て実証されているわけではないので、できるだけ摂取を減らすよう心掛けたいものです。そのためには、できるだけ加工食品に頼らず、家庭での手作りでバランスのとれた食生活を送るように心掛けることが大切です。一手間かければ、食品添加物や残留農薬なども落とすことができるのですから。