食品の原産地表示は、食品を選択するに当たっての重要な情報なので、JAS法により以下のように表示が規定されています。

<原料原産地表示が必要なもの>
○ 原産地表示が必要   ⇒ 生鮮食品(野菜、果物、肉、魚等)
○ 原産国表示が必要   ⇒ 外国で製造された加工食品
○ 原料原産地表示が必要 ⇒ 原材料が品質を左右する加工度の低い22食品群(注1)
(重量の割合が50%以上のもの)
⇒ 個別の品質表示基準で規定されている4品目(注1)
<生鮮食品について>

農産物:原産地 ⇒ 国産:都道府県名、  輸入品:国名
水産物:国産の場合、海域または水揚げ港の所在地(所属する都道府県名)、養殖では
養殖地(都道府県名)、冷凍品を解凍したものであれば解凍と表示されます。
畜産物:畜養期間の最も長いところを原産地とし、原産地が国内であれば国産と表示。
容器包装されたものについては、任意ですが部位調理用途が表示されます。


<加工食品について>
加工食品では、その原料に用いた食材の原産地が表示されますが、義務表示は加工度が低い食品に限られています。
例えば、エビフライを例にとると、原料(生鮮または生鮮食品に近い加工)のエビは原産地表示されますが、エビに衣をつけただけのものを販売する場合は、エビ自体に熱を加えるなどの加工をしたわけではないので加工の程度は低く、原料の品質が製品の品質を左右することになるので、原料のエビの原産地表示が必要となります。
一方、エビフライにすると、フライ操作が品質に影響を与えて加工の程度が高くなり、産地に由来する原料の品質は問題とならなくなるので、表示は不要となります。
原料原産地表示は、主要な原材料の原産地のみが表示されます。主要原材料とは、水を除いた重量の50%以上のものを指します。したがって、例えば調理冷凍野菜ミックスなどで、いずれの原材料も50%を超えない場合には、何も表示されないことになります。
そこで東京都では条例で、都内で流通する調理冷凍食品については、重量で5%以上の原材料に原産地表示を義務づけています。

(注1)加工食品品質表示基準の義務対象食品群(平成23年3月改正告示)
(農産物加工食品)

  1.  乾燥きのこ類、乾燥野菜及び乾燥果実(フレーク状又は粉末状にしたものを除く) *乾燥野菜:乾燥スイートコーン、かんぴょう、切り干しだいこん
    *乾燥果実:干し柿、干しぶどう、干しバナナ、干しあんず
  2.  塩蔵きのこ類、塩蔵野菜及び塩蔵果実
  3. ゆで、又は蒸したきのこ類、野菜、及び豆類並びにあん(缶詰、瓶詰及びレトルトパウチ食品に該当するものを除く)
    *ゆで又は蒸した野菜類:ゆでたけのこ、ふかしたさつまいも
  4. 異種混合したカット野菜、異種混合したカット果実、その他野菜、果実、及びきのこ類を異種混合したもの(切断せずに詰め合わせたものを除く)
    *カット野菜:カット野菜ミックス、野菜サラダ
    *カットフルーツ:カットフルーツミックス
  5. 緑茶及び緑茶飲料
  6. もち
  7. いりさや落花生、いり落花生、あげ落花生及びいり豆類
  8. 黒糖及び黒糖加工品
  9. こんにゃく

(畜産物加工食品)

  1. 調味した食肉(加熱調理したもの及び調理冷凍食品に該当するものを除く)
  2. ゆで、又は蒸した食肉及び食用鳥卵(缶詰、瓶詰及びレトルトパウチ食品に該当するものを除く)
  3. 表面をあぶった食肉
  4. フライ種として衣をつけた食肉(加熱調理したもの及び調理冷凍食品に該当するものを除く)
  5. 合挽肉その他異種混合した食肉(肉塊又は挽肉を容器に詰め、成形したものを含む)

(水産物加工食品)

  1. 素干魚介類、塩干魚介類、煮干魚介類及びこんぶ、干しのり、焼きのり、その他干した海藻類(細切りもしくは、細刻したもの又は粉末状にしたものを除く)
  2. 塩蔵魚介類及び塩蔵海藻類
  3. 調味した魚介類及び海藻類(加熱調理したもの及び調理冷凍食品に該当するもの並びに缶詰、瓶詰及びレトルトパウチ食品に該当するものを除く)
  4. こんぶ巻き
  5. ゆで、又は蒸した魚介類及び海藻類(缶詰、瓶詰及びレトルトパウチ食品に該当するものを除く)
  6. 表面をあぶった魚介類
  7. フライ種として衣をつけた魚介類(加熱調理したもの及び調理冷凍食品に該当するも のを除く)

(農畜水産物加工食品)

  1. ④または⑭に掲げるもの以外の生鮮食品を異種混合したもの

(従来から個別の品質表示基準で原料原産地表示義務のあるその他の加工食品)

  1. うなぎの蒲焼きや白焼き
  2. かつお削り節
  3. 梅干しや福神漬等の農産物
  4. ミックスベジタブル等の冷凍野菜