栄養成分表示

栄養成分表示とは、エネルギーやビタミンなど栄養成分に関する何らかの表示を行う場合、また、「塩分控えめ」「脂肪分○%カット」「低糖」などの強調表示のある場合に記すもので、特定の栄養について情報を伝えたい場合でも、主要な栄養素をすべて表示することになっています。
ただし、栄養表示の中には紛らわしいものもあるので、中身の違いをよく理解しておくことが肝要です。
カロリーゼロ」と表示されていると、カロリーがまったくないように感じますが、実際には違います。食品100g(飲料100ml)当たりのエネルギーが5kcal未満であれば「カロリーゼロ」と表示できることになっているのです。
すべての加工食品に栄養表示が必要ではありませんが、栄養を強調する商品には必須な表示です。
栄養表示基準制度は、健康増進法(第31条)に定められており、1996(平成8)年に導入されました。

  1. 一般表示事項:食品の100g、100ml、1食分、1包装当たりの熱量たんぱく質脂質炭水化物(糖質および食物繊維)、ナトリウムを必須事項として表示する。
    その他にミネラル11種類(亜鉛、カリウム、カルシウム、クロム、セレン、鉄、銅、マグネシウム、マンガン、ヨウ素、リン)、ビタミン13種類(ナイアシン、パントテン酸、ビオチン、ビタミンA、ビタミンB1、ビタミンB2、ビタミンB6、ビタミンB12、ビタミンC、ビタミンD、ビタミンE、ビタミンK、葉酸)が表示の対象。
  2. 栄養成分の補給ができる旨の強調表示:高い旨」、「含む旨」、「強化された旨」の3つの表示に分類される。
    「高い旨」(高、多、豊富、リッチ)を表示するには表1-1の基準値以上の栄養成分を含むことが条件。
    「含む旨」(源、供給、含有、入り、使用、添加)を表示するには表1-2の基準値以上の栄養成分を含むことが必要。
    「強化された旨」(○○%強化、○○g増強)を表示するには比較対照食品に比べて栄養成分の増加量が表1-2の基準値以上であることが条件。
  3. 適切な摂取ができる旨の強調表示:国民の栄養摂取の状況からみて、過剰な摂取が国民の健康の保持増進に悪影響を与えているとされる栄養成分については、食品の適切な摂取ができる旨の表示ができ、「含まない旨」、「低い旨」、「低減された旨」の3つに分類。対象となる栄養成分は熱量、糖類、ナトリウムなど。
    「含まない旨」(無、ゼロ、ノン)の表示は表2-1に示す基準値に満たないことが条件。
    「低い旨」(低、ひかえめ、少、ライト)を表示するには表2-2の基準値以下であること。
    「低減された旨」(○○%低減、○○gカット)を表示するには、比較相対食品に比べ栄養成分の低減量が表2-2の基準値以上であることが条件。


  1. 栄養表示基準の記載の仕方
    栄養表示基準では、表示の内容が理解しやすいように、一定のルールに従って記載することが決められています。

    • 栄養成分の記載順は、熱量→たんぱく質→資質→炭水化物→ナトリウムと決められています。
    • 表示の単位は、食品100g100ml1食分1包装当たりなどとなっています。
    • 炭水化物は、糖質と食物繊維として記載することもできます。
    • 栄養成分量の表示には、一定値での表示と、上限値と下限値による幅表示とがあります。

    「カルシウム入り」(幅表示)「ビタミンAたっぷり」(一定値表示)の表示例を次の表3に示します。

紛らわしい表記例

■「無農薬」「有機栽培」など

  • 「有機農産物」:3年以上、農薬や化学肥料などを全く使わない土地で栽培
  • 「無農薬栽培農産物」:農薬を不使用
  • 「無化学肥料栽培農産物」:化学肥料を不使用
  • 「減農薬栽培農産物」:農薬使用回数がその土地の通常栽培の半分以下
  • 「減化学肥料栽培農産物」:化学肥料使用回数がその土地の通常栽培の半分以下

■「低脂肪」「低カロリー」

  • 「低脂肪」:脂質が100g当たり3g以下、飲料の場合は100ml当たり1.5g以下。
  • 「低カロリー」:食品100g当たり40kcal以下。
    *低脂肪だとしても、たんぱく質や糖分も関係するので、必ずしも「低脂肪=低カロ
    リー」ではない。

■「無糖」「砂糖無添加」「糖分控えめ」など

  • 「無糖」「ノンシュガー」:栄養表示基準で、糖分が100g当たり0.5g未満。
  • 「砂糖無添加」「砂糖不使用」:砂糖は不使用、ただし、砂糖以外の糖類(ブドウ糖、果糖、乳糖など)は使用していることもある。原材料に砂糖が含まれていても、加工段階で使用しなければ表示できる。
  • 「糖分控えめ」「低糖」「糖分軽め」「糖分ライト」:栄養表示基準で、糖分が100g当たり5g以下、飲料の場合は100ml当たり2.5g以下。
  • 「甘さ控えめ」:栄養成分とは関係なく、法律基準のない味覚に関する表示で、メーカー・販売元の表現にすぎない。